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なにかがぶちっといったらしい子取りタソ、退会宣言をなさいました。 でもプーペは続けるのね。 そうよねアメGで引き換えたジュエルアイテムとかがあるものね。 (ジュエルアイテムは基本的に課金しないと買えません。ブログランキングで上位になったため、アメGを貰ってジュエルに交換したのではないかと推測) 退会します * 2009-10-02 21 04 56 テーマ:ブログ えっとやっと前向きになったのに 2ch?で私のあることないこと言ってる人がいて アメンバーの方々の中にも たっくさんいました* 全部お名前分かりました* 言った方がみなさんの為なのかな?確かなことなので* 2chの方々で、私の嫌がらせをする為にきた方々です。 http //pc11.2ch.net/test/read.cgi/net/1254371250 (にっち、らん*、さつき、ナツメ、goshawk*ほゃ*、あろまん、、ナツメ) 「一日PCにはり付いている貴女よりはリア充ですよ。 プーペはやるんじゃネットから消えてないじゃない。 ナツメことminami*より 」 ナツメさんより・・今メッセージがきました。 かわいそう・・ 少しでも世の中が良くなるといいなぁ♪ 2chとかのない世界♪ その為に書きました*またね、次のターゲット?ができてまた攻撃するらしいのね。 だから第2の私を出さない為に・・と思って 妬みとか中傷とか・・ない世界* 今まで本当にありがとうございました* (みんなに励まされました♪元気ももらえました♪)* ふぅ・・妬みや心の貧しい方・・ かわいそうでたまりません。私はブログがなくてもネットがなくても とっても幸せです☆ 本当にかわいそうでたまりません。 今まで本当にありがとう♪ ずきんちゃん*ツクジーさん*さやかちゃん*manoちゃん*ほどかさん*kirara☆ちゃん*ヒロサン☆ 楓さん*funkyさん*ゆざわさん*絵夢さん*ももちゃん*ごろごろにゃんちゃん*十蔵さん*hippi*ちゃん 星空ヒロさん*りぴゅとんちゃん*ホロQさん*ナオくんパパさん*たらこちゃん*sachiちゃん* ぷちさん*リカコちゃん*りえぼちゃん*ぴっぴちゃん*ぴつじちゃん*アリスちゃん*マメちゃん なつみかんちゃん* ありがとう* この日記は消されるのかなぁ? では・・みなさん私は永遠にネットの世界から消えたいと思います。 平和になったらいいね♪ね♪ ことり* 魚拓 ttp //s02.megalodon.jp/2009-1002-2135-18/ameblo.jp/dd188216/entry-10355689661.html ※入った魚拓、本文が微妙に変化 ttp //s01.megalodon.jp/2009-1003-0217-59/ameblo.jp/dd188216/entry-10355689661.html そしてアメンバーにこんなメールを送りつける ***************************** 元気ですがなにか? すっきりやめますよ。 さようなら それから子供は命がけで産むものだれでもそうです。 あなたは努力が足りないか、自分の命が大事なのよー* 子供の愛おしい命よりもね! 私の子供は天使よ♪ 幸せ☆ だから妬んだんでしょう? 醜い人・・ だから子供なんか授からないように 神様がしたんでしょうね* ********************* これが子取りタン! スクリーンショットをファイルで送ってもらい、 さらに管理人がスクショを撮ったのでホットメールのメニューがうつっていますが、 これがそのメッセージ画面。
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遭遇、狂気、破滅。そして… 場は混乱に包まれていた。 闘いを治めるため戦うチーフ。ついにチーフと遭遇したハッター。 狂気にとらわれ戦うゼオラとアスカ。愛する人と会うため死と向き合うリョウト。 そこへ向かう竜馬とリオ。自分を守るため、矛盾の中を走るキラ。 チーフとハッター。 リョウトとリオ。 そしてさまざまな因果… 混乱、という言葉を訂正しよう。そこは…狂気に包まれていた。 そしてまた一人、その狂気の渦に狂気にとらわれた男が放り込まれる… カラン… ほの暗い水底に落ちたザンバーをガイキングが拾い上げる。 先ほどの闘いで落としたボスの形見――ダイターンザンバー。 光の届かぬ深き場所でなお、ザンバーが輝く。 それは…闘いを求めているかのようだった。 ガイキングが水面から姿をあらわし、移動を始めた。進むべき方向は先ほど逃した者達が逃げた西。 マッハ3のスピードでガイキングが飛翔を始めた。 マッハのスピードでガイキングが上空を飛ぶ。そして…7機もの「獲物」を見つけた。 彼からすれば、全ては粉砕すべき敵だ。そのものたちの想いなど関係ない。ただ粉砕するのみ。 レーダーに敵影が入る。接触してからが戦闘ではない。ここからもうすでに戦闘は始まっているのだ。 「行くぞ…!ハイドロ!ブレェェェイザァァァァアア!!!」 50万度の火球。まともに当たれば半壊するだろうが狙ってなどいない。 当たれば御の字、最低足止めはできるだろう。 「こんなとこで死ぬわけにはいかない!」 リオ達が追いつくまで、絶対に死ぬもんか…! 飛行能力も低下し、ライフルによる反撃も不可能。しかし、それでもリョウトはかわし続けていた。 「なんで!なんで死なないのよッ!すぐにおんなじところに送ってあげるっていいってるのに!!」 ゼロがよけつづけることに焦燥と怒りをあらわにする。その渦中に運命の矢となる一撃が叩き込まれた。 「ッ!?ゼオラ、よけて!」 キラが叫ぶ。しかし、敵を刈ることに集中、いや熱中して周りがろくに見えていない彼女は 最後まで気付かなかった。接触の瞬間まで。 彼女からすれば訳がわからないかもしれない。先ほどまで目の前の敵と戦っていただけだったのに。 突然右肩がもぎ取られたのだから。 ゼオライマーが肩から紫電を吹き上げ、痙攣するかのように震えながら落下した。 「ゼオラッ!」 ゴッドがゼオライマーに駆け寄る。 「助かった…?」 リョウトはそう思った。無理もない。 先ほど救援が確立され、どこからともなく飛んできたエネルギー球が相手を破壊した。 そのため、その一瞬レーダーの確認を怠った。もし、それがどちらからきたか…救援の方向と違う方向から 降り立ったと分かっていれば違っただろうに… 耳を劈く轟音とともに、3機を割って入るように鬼がそこに現れた。 「一機だけ…?さっきの通信なら2機いるんじゃ…?」 先行してきてくれたのか?リョウトがいぶかしみながら、鬼との交信を試みる。 「助けていただいてあり」 御礼を言い終わるまでも無かった。ひび割れた腹の顔が、 張り詰めた緊張が解き弛緩したゼロの右羽を毟り取った。 左の飛行能力が低下し、右の羽は消滅。落下するゼロに向けて、ザンバーを投げ放つ。 こうなってはどうしようもない。 (そんな、ここまできてやられるのか…?) リョウトの心中にそんな思いが芽生える。しかし、 「ロォケットォォォォゥパァァァァァァァァンチィィィィィィ!!!」 突如飛んできた腕とザンバーがぶつかり、弾き飛ばされる。 「リョウトくん、大丈夫か!?」 彼にとって、真の仲間が到着した。 「リョウト君!」 ボロボロのデスサイズが地面に落ちたボロボロのゼロに向かう。 「リョウト君、大丈夫!?」 「ああ、僕は大丈夫だよ。それより、リオは…?」 「あたしのほうがよっぽど平気よ…リョウト君、そんなにボロボロになって…」 二人とも涙ぐみながら言葉を交わす。 「何で…?何でよ!アラドは…アラドは死んだのに!何でアラドはッ!!!」 その様子は通信によって回りにもれている。そしてその内容は、ゼオラの心を粉々に打ち砕いた。 「何で!何で!何で!何で何で何で何で何でなんでなのよぉ!!」 痙攣するゼオライマーが起き上がり、2人に向け、エネルギー波を放ちつづける。 「くッ!テェェェッツジィィィン、ヴァァァリアァァァァ!!!」 ダイテツジンがゼオライマー達の間に割って入り、ディストーションフィールドを形成。エネルギー波の盾となる。 もはや言葉にならぬ絶叫を繰り返し、打ち続ける。周りなど見えるわけが無い。 上空で隙を狙っていたガイキングの双眸に火がともる。直後! マッハ3のガイキングによる突撃がゼオライマーに突き刺さる。そのスピードではゴッドも割り込めない。 そして… 「ハイドロブレイザー」 先ほどとは違う、静かな声が響いた。すでにもう、突撃する前にチャージは済ませてあったのだ。 地面にめり込むゼオライマーの胴体にほぼゼロ距離で50万度の火球3発が叩き込まれ… 言葉を発するまもなく3発の炎獄でゼオライマーの胴体は砕け散った。 「そんなッ!ゼオラッ!ゼオラ――――!!」 キラが爆炎に向けて叫ぶ。しかし、その答えは… 「久しぶりだなキラ・ヤマト!!」 炎と煙の中から現れたガイキングの左手がゴッドガンダムの頭を掴み、締め上げる。 「!あああああああああああああああああああああッ!!」 頭が割れるような、否、本当に頭を押しつぶす圧撃。 「どうして!?どうしてこんなことするんです!?みんな生き返るのにィ!!」 瞳孔を開ききり、涙を浮かべながらキラは自己弁護を叫ぶ。 「どうしてだと!?俺にしたことを忘れたのか!?この右腕は忘れんぞ! それに…死者が生き返るだと!?ふざけるな!」 グシャリ ガイキングがゴッドの頭をトマトのように押しつぶす。 倒れたゴッドの胸にガイキングのカウンターパンチが突き刺さった。 ガイキングは腕を戻し、ダイテツジンと向き合う。 すでに両手を失った敵機。さらに後ろの2機もボロボロでつぶすのは容易だろう。 「ボス…見てるか…?俺はかならず戻ってお前の分まで戦って見せる…!」 鉄也の台詞には、先ほどまでの暗さが無かった。友に対する自然な清々しさが合った。 鉄也にすれば独り言同然のこの一言。しかし、これを聞き、 「鉄也君!?鉄也君なのか!?」 竜馬が問い掛ける。 「流竜馬か…」 また暗いトーンに戻って鉄也が答える。 「なぜ君のような勇者がこのゲームに乗ってるんだ!?」 「俺は元の世界に必ず戻ってミケーネと戦わねばならん。それがボスとの誓いだ。 それに…俺は勇者では無かった。」 最後はボソリと付け加えるように答える鉄也。 「そんな…」 「もういいだろう。行くぞ。」 ガイキングはダイテツジンに向け走り出した。 (チィッ!なんてことだ!) シロッコは舌打ちをした。足をやられ、制御系をどうにかして飛行可能になったものの、 まさかあの2人がやられるとは。 今の状態ではフラフラ飛び出したところであの「鉄也」なるマーダーに殺されるだろう。 かといってあの「流竜馬」達が生き残ったところで、あのガンダムタイプがいる以上、安全とは限らない。 とても首輪をネタにしても食いつくようには見えない。 (結局動力を落とし立ち去るのを待つしかないか…) 動力を落とし、もうパイロットも死亡しているように見せるしかない。幸い、ダンガイオーはかなり傷ついている まさか、自分がこんなところでこんなことになるとは。シロッコは動力を落とし、忌々しげに2機の闘いを眺めた。 【リオ=メイロン 搭乗機体 ガンダムデスサイズヘルカスタム(新機動戦記ガンダムW Endless Waltz) パイロット状況:良好。 機体状況:全体的に破損、武器消失。 現在位置:C-1 第一行動方針:アスカの捜索 】 【流竜馬 搭乗機体:ダイテツジン(機動戦艦ナデシコ) パイロット状態:良好 機体状況:パンチで飛ばした両腕なし 現在位置:C-1 第一行動方針: 鉄也をどうするか悩んでいる 第二行動方針:他の参加者との接触 最終行動方針:ゲームより脱出して帝王ゴールを倒す】 【パプテマス・シロッコ 搭乗機体:ダンガイオー(破邪大星ダンガイオー) パイロット状況:良好、イラ付き 機体状況:右腕は肩から損失、左腕は肘から下を損失。全体に多少の損傷あり(運用面で支障なし) 現在位置:C-1 第1行動方針:首輪の解析及び解除 第2行動方針:戦力増強(切実に新しい機体が欲しい) 最終行動方針:主催者の持つ力を得る 備考1:コクピットの作りは本物とは全く違います。 備考2:基本的にサイキック能力は使用不能だがNT能力等で一部代用できるようだ 備考3:(キラから首輪を受け取っておいて正解といったところか)とあることから首輪を所持している】 【リョウト・ヒカワ 搭乗機体:ウイングガンダムゼロ(新機動戦記ガンダムW) パイロット状態:健康 機体状態:左翼小破、右翼消滅 現在位置:C-1 第1行動方針:リオとの合流 第2行動方針:邪魔者は躊躇せず排除 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出 備考:バスターライフルはエネルギー切れ】 【ゼオラ・シュバイツァー 搭乗機体:ゼオライマー(冥王計画ゼオライマー) パイロット状況:死亡 機体状況:右肩消滅 胴体大破】 【キラ・ヤマト 搭乗機体:ゴッドガンダム(機動武道伝Gガンダム) パイロット状況:死亡 機体状況:頭部消滅、コクピットブロック破壊】 【剣鉄也 搭乗機体:ガイキング後期型(大空魔竜ガイキング) パイロット状態:マーダー化 機体状態:胸部に大きな破損があるが、武器の使用には問題なし。右腕切断。ダイターンザンバー所持 現在位置:C-1 第一行動方針:他の参加者の発見および殺害 最終行動方針:ゲームで勝つ】 前回 第170話「遭遇、狂気、破滅。そして…」 次回 第169話「闘う者達」 投下順 第171話「涙、枯れ果てた後に」 第168話「再開」 時系列順 第175話「されど戦いは続く」 前回 登場人物追跡 次回 第168話「再開」 リオ・メイロン 第179話「ゲッター線」 第168話「再開」 流竜馬 第175話「されど戦いは続く」 第168話「再開」 パプテマス・シロッコ 第184話「ハイエナの如くに」 第168話「再開」 リョウト・ヒカワ 第179話「ゲッター線」 第147話「内と外の悪鬼」 剣鉄也 第175話「されど戦いは続く」 第168話「再開」 ゼオラ・シュバイツァー - 第168話「再開」 キラ・ヤマト -
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俺は昔、トリッガーと、こんな話をしたことがある。 どこでだったかは覚えてないが、その部屋の白さだけは鮮明だ。 「なぁジーク、なんでマスターはあんなにデコイにこだわるんだと思う?」 突然の質問だったが、たいして時間はかけずに答えられた・・・確か。 「そうだな・・・ たぶん、ここに住んでいるからじゃねえか? デコイたちは、俺たち「ヘブン」の者が持っていない物を、 いくつも持っているからな・・・ ・・・苦労、労働の喜び、そして死・・・ どれも、ここにはない物だ。 俺もそーゆうとこは結構好きだな。」 しかし、トリッガーは、あまり納得していないようだった。 だが俺は、気にせず続けた。 「そんでもって、向こうには、ここみたいな暮らしに憧れているヤツがいたりしてな。」 ここでトリッガー、多少呆れる。 「そんなモノかぁ・・・?」 「そうだろ。 そういうお前は、どう考えているんだ?」 トリッガーは俺よりも考えてる様子で、十秒ほどしてから答えた。 この辺の記憶もあまり定かではない・・・ 「正直言って、よくわからないんだ・・・ マスターの気持ちも、デコイたちが本当に大切なモノなのかも・・・」 (マジで悩んでるのか?意外にも。) 「ま、そんなに考え込む事じゃ無いだろ。」 そう言って、俺は立ち上がった。 わずかに覚えているのも、ここまでだ。 つくづく自分の記憶力の程度を思い知る。 だが、この様な会話を思い出すと、自分に対して疑問が生じてくる。 何故親友であったトリッガーと対立し、システム側に付いたのか。 トリッガーはデコイ達やマスターとの約束を守るために戦っている。 ならば俺は、何のために戦っているのだろうか。 トリッガーのように何かを守るためというのならば・・・はっきりしている。 ―――――セラ様だ。―――――― ロックは今、ヘブンに向かっている。 だんだん地球が小さくなっていくのを、不思議な気分で眺めていた。 (妙な感じだ・・・ これを逆回ししたような光景を、 僕は本当に見たことがあるのだろうか・・・) マスターとの思い出。 あれが自分の記憶だという、実感のない、不安定な記憶・・・ 「トリッガー、どうかした?」 ロックは、ハッとした。 白い船内。シャトルの中。 ロールのお母さんの身体をした人。マザー・ユーナ。 巨大な砲身をして、いくつもの銃口がある武器。ロールが作ってくれた、 急造の「ガトリングレーザー」。 「さっきから黙ってるから・・・」 ロックは、ため息をついて、 「僕に、システムが止められるんでしょうか・・・」 ユーナも、つられたようにため息をついて、 「はぁ・・・ だから言ったでしょ? 物事はあまり考えるモノじゃないって・・・ たぶん大丈夫よ。 やらなきゃいけないんじゃないの? 確かにあのコの戦闘端末は強いけど、きっと勝てるわよ! そのために、あのロールってコがそれを作ってくれたんだから!」 ユーナは、ロックの傍らにある、「ガトリングレーザー」を指して言った。 レーザーを射出する武器。 しかし、レンズ部分は間に合わせの物で作ったため、あまり無茶は出来ないという。 連射型の「ガトリングモード」と、 単発型の「パワードモード」になり、切り替えがきく。 「はい・・・ そうですよね・・・ でも、何か他にも何かありそうな気がするんです。 何でだろう・・・」 「そうねぇ・・あっ、あのコ! ロックマン・ジーク!」 ロックは記憶の底の方にこびりついていたその名前を思い出した。 (そうだ・・・ 始めてのディグアウトで会ったあいつは、ジークって名乗っていた! あいつの話の中でも、「セラ様」とかいう名前がでていたし、 ヘブンの人だったんだ・・・) 「あいつは一体なんなんですか?」 ユーナは、驚いた様子で、 「え?あなた、彼のことも思い出したの?」 そこでロックは、昔のディグアウトのことを話した。 「ふ~ん・・・そんなことがあったの・・」 急に、ガガが口を挟んだ。 「確かにジーク様は、セラ様に忠実でしたから、今来ても不自然ではありません」 「そうですか・・・でも、なんで僕はその時にやられなかったんでしょうか」 「そうねぇ・・」 ユーナの悩み方は、「なぜか」というよりも、 「言うべきか、言わぬべきか」で悩んでいるような感じである。 だがやがて、決心したように、 「たぶんそれは、あなたの、というより、トリッガーの機能ね」 「機能?」 ロックがオウム返しに聞いたが、ユーナは気にせずに続ける。 話を要約すると、こんな感じである。 トリッガーはリセットしたが、そのデータが、多少残っているらしい。 そして、リセット後の活動中に、身体的な危険が迫ると、データの内、 戦闘能力の部分だけを再生し、本人の意識とは別に、危機を脱するのだという。 ただ、本人の意識とは別とはいっても、あくまでも自分の身体なので、 意識して自我を保っていれば、発動しないとのこと。 「でね、ここからが大切なんだけど、この時の意識は、誰の物でもないの。 トリッガーでも、もちろんあなたの物でも・・・ それで、もしかしたら・・・元に戻れなくなるかも知れないの・・・」 「!」 ロックは心底驚いた。 当たり前である。 自分が元に戻れなくなるかも知れないのだから。 「だから使わないように心がけなきゃいけないの。 あのロールってコを悲しませちゃいけないもの」 ロックの答えはもちろん、 「わかりました。 自分の意識を保って戦うようにします・・・」 この話題は、ここで一段落した。 ガガはここで、もっともなことを言った。 「ところでユーナ様、なんでジーク様は今まで、 トリッガー様と戦いに来たり、 セラ様の封印を自分で解いたりしなかったんでしょうか。」 そういえばそうである。 プログラムを実行したければ、そのようなことをすれば良かったのだ。 ユーナは、気付いたように、 「そういえばそうね・・・ もしかしたら、管理人かも・・・」 「管理人?」 またもやオウム返しである。 だが、今度は返事が返った。 「そう、管理人。 ロックマンシリーズの管理人よ」 ガガが驚いた様子で、 「なっ・・・ あれは、実在していたんですか?」 「わからないわ。 でも、他には考えにくいのよ」 二人の話を聞いても、ロックは何もわからない。 「あの・・・どういうことなんですか?」 ユーナは、今度は本当にどう説明したらいいのか迷っているようだ。 そんなユーナに、考えようによっては、「助け」とも取れる出来事が起こった。 「ん~・・管理人ってのはね・・・ ロックマンシリーズに対して、絶対的な権限を・・・」 ここまで言って、 「ユーナ様! マスタールーム近くに高エネルギー反応! ロックオンされてます!!」 「なんですって!?」 その直後、シャトルを閃光がかすった! 衝撃。 「ディフレクター破損! ホロン機関停止!! 制御不能、落ちます!!!」 こんな時だというのにユーナは喜々とした様子で、 「ガーちゃん、居住区に落ちて! 手間が省けるわ!!」 「は、はい!」 声が裏返っている。 数秒後、ロックは、シャトルと、昔の人間の家の断末魔の叫びを聞けた。 ドグァシャァァアァァァア!!!!!!! 蒼い目を持った彼は落ちていくシャトルを見ていた。 (あれならばまだ死にはしないな。 すぐにここに来るだろう。 システムを・・あの忌まわしいシステムを破壊しに・・・) シャトルが地平線の陰に隠れたのを確認して彼は、 マスタールームへと入っていった・・・ (ん~~・・・ なんか凄い音がして・・・ そういえば管理人ってなんだろう・・・ そんなことより何が起こったんだろう・・・ もしかして死んだのかな・・・ システムも破壊してないのに・・・ こんな中途半端な状態で・・・ そういえばユーナさんは・・・?) ロックは思い切って目を開けた。 すると・・・ 「あらトリッガー、起きたの」 「あ・・・ここは、天国ですか?」 それを聞いたユーナは、しばらく考えてから笑いをこらえて、 「そうかもね。 ヘブン(天国)だし!」 とりあえずロックは、生きていることがわかった。 無惨な様である。 シャトルは見事に(とは言ってもほとんど原形をとどめてないが)地面に突き刺さり、 昔人間の民家まで巻き添えにしていた。 もっとも、巻き添えにしなければ、更に下まで落ちていただろうが・・・ ロックが苦労してシャトルの破片から、ガトリングレーザーを引っ張り出しているときに、 「これではもう再生は不可能でしょうね」 最も大きな「シャトルの破片」・・いや、ガガは言った。 「そう言わないの、ガーちゃん。 生きていた上に、近道まで出来たんだから儲けモンよ」 「はぁ・・・ でも、あの攻撃はやはりジーク様なんでしょうか」 「たぶんね」 ロックはロックで、ユーナに質問がある。 「あの・・・さっき言ってた・・・」 だが、聞こえない振りをされ、 「はいトリッガー、ヘブンについたわ。 早くマスタールームに向かいなさい。 そのゲートを適当に行けばいいわ! その武器を早く装備して!」 早口でまくし立てられ、為す術もなく追い出されて、 15分後には、マスタールームに入ることが出来た。 ユーナは一つの仮説を考えている。 もちろん、管理人についてである。 ロックを送り出したのは、一人で考えるためだ。 (おそらく、ジークを止めていたのは管理人。 でも、ジークは、何も理由も無く止められているのを納得しないでしょうね。 となるとトリッガーは、 デコイの「ロック・ヴォルナット」として認識されていたのかしら・・・ 「初期化」又は「再生」以外でデコイを殺すと、 「虐殺」と見なされ、何らかの処分を受ける事になるわ。 ジークがそこまで危険を冒してまでトリッガーを倒そうとするとは思えない。 でも管理人は、なんでそうまでしてトリッガーを守るんだろう・・・ まぁ、管理人を知らないから、これ以上は憶測の域を出ないわね・・・) ここでユーナは、もう一つの疑問に気付いた。 (でも、セラの封印を解くのなら、管理人が邪魔をするはずはないわ。 なのに、なんでジークは封印を解かなかったのかしら・・・ 封印がどこにあるのか知らなかったから? いや、違うわ。 調べようと思えば出来ない事じゃないもの。 となるとジークは、自分の意志で封印を解いてないないのかも・・・ そうかも知れない・・・ トリッガーが発見しなかったら、システムに対抗する者は現れなかった。 ジークは、迷っているのかしら。 システムに反する心と、マザー・セラに従う気持ちの間で・・・) ロックはマスタールームのただ長い道を進んでいった。 下へ下へ・・・ デジャビュ(既視感)が続いている。 もっともこれは、実際に来たことがあるからのだが。 やがて、最も下の階だと思われるところについた。 そこは、何か今までと雰囲気が違っている。 何か、哀しいような・・・ 長い通路を進んでいくと、見覚えのある人物がいた。 (なぜだろう・・・懐かしいような気がする・・・) ロックマン・ジーク・・・ 「来たか・・・トリッガー」 ロックは驚いていた。 ジークは、昔見たときと、全然変わっていたのだ。 姿の面では、大きな刀を背負っていたりするがほとんど違いはない。 そういうことでは無く、「感じ」が変わっている。 まるで、機械のように・・・ これがあの、感情的なジークなのだろうか・・・ 「イレギュラー、ロックマン・トリッガー確認。 これより、バトルスペースに移行する」 その瞬間、ジークを中心に波紋が広がっていった。 いや、部屋が現れたのだ。 先ほどの通路とは全く違う、白い、広い部屋・・・ その中で、ロックの青いアーマーが浮かんで見える。 ジークも白とはほど遠いが、こちらは不思議ととけ込んでいる。 「排除・・・開始!」 ジークの左手の、独特の形をしたバスターから、 さっきシャトルを落とした一条の光が放たれた。 「くっ・・」 ロックがとっさに側転で避ける。 光はロックの後ろにあった壁に当たったが、壁には傷一つ付いていない。 「反応はいいな・・・だが!」 ジークが、左肩に付いている八つの遠隔レーザーユニットの内、四つを射出する。 ロックを、四つの銃口が狙う。 (避けきれない!) そう判断したロックは、右手のガトリングレーザーの引き金を引いた。 連続して発射されるレーザーを受けて、レーザーユニットは沈黙した。三つだけ。 残った一つが放ったレーザーをロックは、伏せてかわそうとする。 が、左肩のアーマーにかすり、わずかな傷が付いた。 かまわずロックは、ガトリングレーザーによって残りの一つを破壊した。 ロックは引き金を引いたまま、本体であるジークに銃口を向ける。 しかし既に、そこには誰もいず、ロックが狙った相手は・・・ 「甘い・・・」 ジークはロックの後ろにまわり、 背負っていた「インフィニティ・ブレード」を振り下ろそうとしていた・・ ジークは、何のためらいもなく、巨大な刀「インフィニティ・ブレード」を、 片手で振り下ろす。 ロックはそれを、ガトリングレーザーのシールド部で受け止める。 ───キィン─── 巨大な銃身の側面には、装甲が厚くなっている部分があるのだ。 ロールはこう言っていた。 「この武器は大きいから、ロックの機動力が落ちると思うの。 だからその分、防御力を高くしておくから、覚えておいてね」 この武器を作ったロールはロックに、 「生き残って帰ってきて欲しい欲しい」と思っている。 ロックも、それを知ってか知らずか、「ロック」として自分を保ちつつ、 「生き残って帰る」ために必死である。 だからこそロックは、こうやって守りにまわりながら、 反撃のチャンスを待っているのだ。 しかし、いまはそう慎重にと言ってられる場合ではない。 そこでロックは少し、攻めにまわってみることにした。 ダダダダダダダ───────── シールドで身を守りながら、バスターを連射した。 「ちぃっ!」 二人とも右手がふさがっているため、接近戦になると、 左手のバスターの銃身が長いジークの方が不利になる。 そこでジークは、間を取り直すために、後ろに飛んだ。 その時、時間の間が生じる。 ロックは、バスターを撃ちながら、横っ飛びに移動する。 その先は、部屋の隅。 逃げ場がないため、不利に思われる。 「血迷ったか?」 ジークは残った四つのレーザーユニットを射出し、バスターのチャージを始めた。 が、それよりも早くロックは、ガトリングレーザーのモードを切り替え、フルチャージに すべくトリガーを押し込んだ・・・ 四つのレーザーユニットが、火を噴いた。 しかしそれは、突然の光に飲み込まれる! ガトリングレーザー「パワーモード」のフルチャージショットを、ロックが撃ったのだ。 部屋の隅にいれば、前方の目標に集中できる。 四本の銃口から同時に、高出力のレーザーが発射される! ───────キィィィィィィィィィ────────── ジークはバスターを撃ったが、チャージが間に合わず、30%程の出力で打ち負ける。 避けようとしたが、左手のバスターが巻き込まれた。 「くっ・・・」 バスターが破壊された。 「よしっ!」 ロックはガトリングレーザーを「ガトリングモード」にし、またトリガーを引く。 ジークの身体を、連続的に衝撃が襲う。 だが、それでもひるまずに、インフィニティ・ブレードを構えた。 「インフィニティ・ブレード、スピア!」 とたんに刀が、強烈な光を放った。瞬きするほどの時間だけ。 次の瞬間、刀は槍の形を取っていた。 ジークがロックへと槍を突きだした 「でぇい!!」 部屋の隅にいるロックにはかわせない。 体をひねって直撃は免れたが・・・ ――ドシュ!!―― 無数の刃が現れ、ロックにダメージを与える。 ロックはその場に膝をついた・・・ ロックは満身創痍だった。 ジークは冷静さを欠いている。 ジークはスピアを捨て、ロックに右手をかざした。 前に戦ったときも、こんな展開だった・・・もっとも、前は逆の立場だった。 ジークの手を赤紫色の光が包む。 ロックマン・トリッガーを封印するため・・・ 「イレギュラー、・・ロックマン・トリッガーを・・・」 (・・・封印する・・・) その言葉の途中で、ロックがジークに話しかけた。 「僕には・・君の記憶はないけど・・君なら・・・・」 ジークは反応しない。 「君なら、わかってくれそうな気がする・・・ 僕たちがこんな事をしなくても・・戦いを終わらせるにはもっと良いやり方があるって・・!」 ジークはわずかに目を細めた。 (そうさ・・・ 俺は失いたくないんだ・・・主も・・友も・・・ だが今は・・・・) ジークは右手に力を入れる、 「イレギュラー、ロックマン・トリッガーを・・封印する・・・」 が、ジークの背中に何かが飛び込んできた。 その瞬間、白い部屋が消え、元の通路に戻った。全ての傷はそのままで。 ジークの、背の部分から声が聞こえる。 「トリッガー様、遅れてすいません! 早くライブラリにっ!」 「ガガさん?」 「くっ・・・ ガガ、はなせぇぇ・・・!」 「ここは頼みます!」 ロックはライブラリへと足を踏み出した。 ロックとセラの戦いは、予想以上に激しいものだった。 ロックとセラの戦闘能力ではセラが大きく勝っている。 だが、ロックの傷には、特に深いものが無かったこと、 ロックは「生き残る」ために戦っているのに対し、 セラは「迷いながらも」戦っているということが、戦いに大きく影響していた。 そしてその戦いも終局を迎えようとしていた・・・ それは、「闇」と言うよりも、「黒い光」と言う感じだった。 重力場。 ブラックホールである。 足を止められたロックは覚悟を決めた。 双方が自らの最強の武装のチャージを始める。 「これで、終わりだ・・・」 セラが空虚な、しかし力強い様な声を出した。 二本の光が放たれる─── そのまま行けば、その莫大なエネルギーによって大爆発が起こるだろう・・・ しかし、その間に、ジークが割り込んできた・・・ かれは轟音の中、叫んでいた。 「無駄な戦いはやめろ! これ以上マスターを悲しませるつもりか!!」 ジークは無事だった。 とは言っても、数日間は動けないような状態だった。 しかしこの程度で済んだのは、 ジークがロックとの戦いでは使用しなかった「バリアフィールド」を張っていたからである。 これをロックとの戦闘で使っていれば、 ガトリングレーザーのパワードモード以外の攻撃ならほとんど防げたはずだ。 それを使用しなかったのは、いくらジークでも、気まぐれとは考えにくい。 これは、本人にしかわかりはしないだろう。 もう一つの理由は、ロックとセラの二人が、自らの武器の発射を途中で止めたことである。 セラのレーザーは体の一部となっているため、比較的難しくはない。 しかしロックのガトリングレーザーは、急造であるため不安定で、無理矢理止めようとすれば暴発する。 ロックはそれをやったため、ガトリングレーザーが修復不可能なほどに分解し、 ロックの右半身も大ダメージを受けた。 しかしロックは、自分よりもジークの心配を先にしていた・・・ このことからもロックは、ジークの記憶が無くとも心の隅では、 ジークが友人だと言うことがわかっていたのではないかと思われる。 まぁこれも、ロックは基本的に相手が誰だろうとも心配する性格なので、正しいかどうかはわからない。 ジークが現れる十数秒前の会話。 「くぅ・・・ 死なせるものか・・・ 誰もしなせるものかぁぁ・・・」 「ジーク様?」 「だから離せ!ガガ !! 俺はあの二人を止める! 死なせたくはないんだ!!」 その言葉を聞いて、ガガはジークの身体から抜け出した。 ジークは拍子抜けした声で、 「どうした?」 「誰も死なずに済むのなら・・・行って下さい!」 「ほう・・・ 素直じゃねぇか・・・ じゃなっ」 ジークは、ワープを開始した・・・ ガガに入り込まれたジークがあの戦場に行けたのには、こんな背景があった。 ロール・キャスケットとトロン・ボーン、数名のコブンが、 完成したロケットに搭乗して迎えに来るまでに、三ヶ月あまりかかった・・・ ここからは、皆のその後を伝えることにする。 ロックマン・トリッガー――――彼は今、ロック・ヴォルナットとして、以前の様な生活をしている。 しかしそもそもの目的であったロールの両親探しは、母親と父親がバラバラになっており、 手がかりであった「大いなる遺産」も手がかりとしての意味が薄れてしまったため、難しいかもしれない・・・ ロール・キャスケット―――――彼女もまた、以前の様な生活をすることだろう。 やっと巡り会った母親とは、しばらくの間喜び合うことができたが、 マチルダは数日後、「時間を失っていた分、やりたいことがある」と、夫を捜す旅に出た。 彼女は、娘のロールにこう告げてた。 「ロール・・・ 人というのは、やりたいことをやるようにできているの・・・ たとえその結果がどうなっても。 だから私は、あの人を見つけたときに、何かの形で絶望を感じるかもしれないけど、そ れが自分のやったことの結果なら、 可能な限り、受け止めるつもり。 またしばらく会えなくなるのは寂しいけど、あなたも自分のやりたいことをやっておく のよ・・・ まだ若いんだし!」 こうしてロールはまた、ロックのサポートを続けることになった・・・ ボーン一家――――――――――空賊を続けていると思われる。詳細は不明。 マザー・セラ、マザー・ユーナ―ヘブンに残り、事後処理を続けている。 二人とも元の端末に戻れた様子。 セラには「感情」が戻ってきている。 ロックマン・ジーク――――――しばらくはヘブンでマザーを手伝っていたが、 途中で飽き、今は地球で気ままに生活をしていると思われる。 把握不可能。 彼らの中には、大きな物を失った人物もいる。 しかし彼らは皆、未来へと向かって進むことができるのだ・・・ その向こうに何があろうとも・・・
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慟哭(どうこく) 慟哭 イベントカード 使用代償:青 バトル中に使用する。 バトル終了時まで、キャラ1体の好きな能力値1つに-200する。あなたのダウン置き場に2枚カードが置かれている場合、-200する代わりに-300する。(1ターンに1回まで宣言可能) 「う……ぅ……ああぁあっ、ああああああぁああぁっ!!」 Version/カード番号 Ver.11.0/0985 レアリティ R コメント コメントの入力。必須ではない。
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コスト 18 パワータイプ 成長 通常 攻撃力 960 弾数 1×1 弾回復力 1240 ストップ 短時間、魔物の移動を止める
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はじめまして。そして…おかえりなさい そして、しばらくののち・・・ あなたのまえに、ふたりの子供があらわれます・・・ その子は、あなたのことをしりません。 でも、あなたは、その子のことをよくしっています・・・ 「はじめまして・・・そして・・・おかえりなさい」 +ネタバレ ED後のスタッフロールで流れる文章。 試練を終えて消滅した双子が、記憶を一新してプレイヤーの元へ帰ってきた事を示している。 ラストのノルンの台詞から双子が帰ってくる予想はつくが、 BGMの演出等やゲームクリアの達成感により、印象深いシーンとなっている。
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破れた誓い、そして… ◆iCxYxhra9U なかなか戻ってこない梨花に不安を掻き立てられ、リンクは小走りで、彼女が向かった道を辿った。 なんだか猛烈にイヤな予感がする。 足跡を追うと、すぐに荘厳な雰囲気の木造建物を見つけた。 リンクには馴染みのない様式だが、直感でわかる。この建物は、神殿の中心部だ。 梨花は間違いなくここにいる。 そんな確信と、根拠のない焦燥を抱いて、リンクは勢いよく扉を開いた。 「梨花ちゃんっ !?」 「……ニケ、か?」 返事があった。しかし、梨花の声ではない。 中は薄暗い。微かに射し込んだ光が、片膝をついている金髪の少女の輪郭を照らしている。 その少女の足元に、仰向けになったもう一人の影があった。 リンクは思わず息を呑む。 間違いなく、梨花だ。さっきまで一緒に笑いあっていた梨花が、今は眠るように倒れている。 その顔を覗き込むようにしていた金髪の見知らぬ少女が、ゆっくりとこっちを向いた。 振り返ったその顔には、なんの感情もない。 リンクの全身が警報を発した。 同時に、認めたくない絶望感に襲われる。 そんなはずはない。だって、さっきまで一緒にいたのに。 絶対に、そんなはずはない――。 金髪の少女が、つまらなさそうに口を開いた。 「声が似ているだけの別人か……。この娘の仲間か?」 「そ、そうだ! 梨花ちゃんを――」 「死んでいる」 リンクの言葉を遮って、金髪の少女は素っ気なくそう言った。 「私が殺した」 その冷淡な言葉を聞いた途端に、リンクの頭に血がのぼった。 目の前が真っ白になって何も見えない。 なにか叫んでる自分の声も聞こえない。 先刻学校での、復讐を諌めた梨花の言葉も、 その時の、殺さないと約束した小太郎の言葉も、 一瞬で記憶の中から弾け飛んだ。 気付いた時には、すでに殴りかかった後だった。 次の瞬間、リンクは宙を舞って、扉に叩きつけられていた。 衝撃で扉ははずれ、そのまま外まで転がり落ちてしまう。 「ぐっ、つぅ――!」 リンクは呻きながら立ち上がる。 身体が自然と戦いに備えていたせいで、ひどい怪我はなかった。リンクはこう見えて、歴戦の勇者なのだ。 仰ぎ見ると、はずれた扉を踏みつけて、金髪の少女はリンクを追うように外に姿を見せた。 梨花と同じくらいの背格好だが、身に纏う雰囲気がまるで違う。 夜風になびく金色の髪は、無数の捩れた刃のようだ。 冷たさを湛えた深緑色の瞳は、底のない沼のようだ。 そして、口元にこびり付いた赤い血は……。 リンクは思い出す。インデックスたちがエヴァと呼んでいた、寝ているはずのもう一人の仲間の事を。 小太郎が言っていた、吸血鬼の真祖の事を。 「まさか、お前がエヴァ? インデックスが仲間だって言ってた……なのにどうしてっ !?」 リンクの問いに、少女は口を歪めて嗤った。 初めて見せるエヴァの表情。リンクは鮫に睨まれたかのような印象を受ける。 「私に仲間はいない」 冷笑しつつも抑揚のない声で、エヴァは言い切った。 「理由? そんなものあるわけないだろう。 意味もなく人が死ぬ、ここはそんな世界だ」 「ふ、ふざけるなっ !! 梨花ちゃんは……さっきまで、さっきまで笑ってたんだ! それなのに、こ、こんな酷い事を……っ」 込みあがる感情の奔流で、言葉にならない。 そんなリンクの様子を見て、エヴァは不機嫌そうに眉を寄せた。 「そうか、ならばどうする。私を倒すか?」 「あ、当たり前だ! 許さないぞっ!」 リンクの気勢に、エヴァは鼻からふっと息を吐いた。 笑ったようだった。 「……よかろう。面倒だ、一瞬で終わらせてやる」 なんの気負いもない様子でエヴァは段を降り、リンクの目前へと足を運ぶ。 本殿を背にして、吸血鬼の真祖はハイラルの勇者と対峙した。 エヴァは手ぶらだ。なんの武器も持っていない。 そればかりか、周囲を軽く見渡して、「なかなか静謐な空気だな」などと呟いている。 その瞬間だけ、エヴァから感じる威圧が薄らいだ気がしたが、リンクはすぐに気を引き締めた。 油断できる相手じゃない。勇者としてのリンクの直感が、そう告げていた。 リンクは一歩飛び退き、エヴァと距離を取った。 ちらりと左腕を見る。そこには、勇者の拳が変化した腕輪が嵌められている。 さっき殴りかかった時、勇者の拳はなんの反応もしてくれなかった。 学校で一休を倒した時のように、巨大な拳となってエヴァを吹き飛ばしてはくれなかった。 いや、一休の件は幻覚だった可能性が高いのだが……。 とにかく、この拳の発動条件を満たしていなかったのだ。 さっきなにを叫んでいたのかは、自分でも覚えていない。きっと、意味のない怒声だったのだろう。 勇者の拳は当てにできない。この拳は、間違ったものを正す拳なのだ。 明らかに怪訝しいものにしか反応しない。或いは、可笑しいものにしか。 確かに今のこの状況はおかしい。不条理だ。許せない。 しかしリンクには、それを叩きつけるための言葉が見付けられなかった。 “許さない”“倒してやる”では、勇者の拳は反応しない。 紛れもなく勇者であるはずのリンクだったが、理屈よりも感情が先に立って、適切な言葉が出ないのだ。 こんな心理状態で、冷静な指摘などできるはずもない。 余裕からかエヴァは無防備に佇んでいる。なにを考えてるか知らないが、隙だらけだ。 なめられてる。そう思ったリンクは素早くランドセルを開き、もう一つの武器を取り出した。 それは白い羽飾りをなびかせた、黒衣隻腕の懸糸傀儡。 エヴァの顔が喜色に歪んだ。 「ほう、面白いものを持っているじゃないか」 素早く糸を指に嵌め、リンクはあるるかんを構える。 ゆらり――と懸糸傀儡は、リンクを守るかのように立ち上がった。 「踊れあるるかんっ! 炎のボレロっ!」 軽快なステップで、あるるかんは一気に距離を詰める。 そのリズムは、かつてリンクが旅の中で繰り返し奏でた馴染みのものだ。 人形繰りを始めて間もないとは思えないほどの練度で、リンクはあるるかんを駆る。 「――くらえっ」 裂帛の気合を込めた右の拳撃。 腕に仕込まれたギミックが作動し、一度の突きを無数の連続突きに変える。 あるるかんの基本攻撃技、フレッシュ・アンフラメ(炎の矢)だ。 「ぬるいな」 目にも止まらない連続突きを、エヴァはあるるかんの左側に回りこむようにして躱していく。 それを追って、リンクはあるるかんを左へ左へと転回させる。 しかし、届かない。 あるるかんの右手には、ちぎれた人形の腕が握られている。それがいわば、あるるかんの武器だ。 その代わり、というわけではないのだが、あるるかんには左腕がない。 だからどうしても、左に回りこまれると攻撃が届きにくくなるのだ。 エヴァは余裕を持って怒涛の突きを避け続ける。 しかし、リンクに焦りはない。 これは人形だ。だから、人間には不可能な動きだってできる。 そのためのギミックも仕込まれている。 いつしか、両者の立ち位置は逆転していた。リンクが本殿を背負い、エヴァの後ろには参道が延びている。 リンクは一転してリズムを変え、今度は逆にあるるかんを右回転させた。 「嵐の歌っ!」 あるるかんの胴体がスライドし、歯車が露出した。 上半身が勢いよく回転し、唸りを上げながらエヴァめがけて突撃する。 「――回転斬りだっ!」 回転数を数えるのもバカらしいほどの激しさで、独楽のようにあるるかんはエヴァを噛み砕かんと迫る。 コラン――事実上あるるかんの最大攻撃といってよいその仕掛けを、エヴァは紙一重の見切りで躱した。 しかし、コランは連続攻撃だ。当たるまで、あるるかんの突進は止まらない。エヴァはそのまま退がり続ける。 エヴァとリンクの距離が広がる。逃げるエヴァ。追うあるるかん。 空気が渦を巻き、エヴァの髪が激しくたなびく。 さらに、リンクの攻撃はそれだけでは終わらない。 突如、あるるかんの腕が伸びるようにして、殺傷圏が増した。 聖ジョージの剣と呼ばれる、腕に収納された可動式の刃が展開したのだ。 だが、追いつめられているエヴァは逆に不敵な笑みを浮かべた。 「バカめ、回転速度が落ちたぞ!」 エヴァは体勢を低く取り、攻めの構えを見せる。 回転する刃をかい潜って、リンクに接近するつもりなのだ。 だがそれすらも、リンクは読んでいた。 彼が狙ったのはエヴァ本人ではなく、地面に敷き詰められた玉砂利。 リンクはあるるかんの上体を傾けて、回転した剣で地面を掠るように抉った。 激しく何度も叩きつけられる剣の勢いで、散弾銃のように無数の飛礫がエヴァを襲う。 しかし、エヴァは動じない。 低い弾道で迫る至近距離からのそれを、エヴァは人間離れした反射神経で、跳躍して避けてのけた。 だが、それこそがリンクの狙いだった。 今までの攻撃のすべては囮。次の一矢こそが本命。 「跳んだな、そこだっ!」 回転を止めずにその勢いのまま、上体を傾けたあるるかんの右手から、大きな矢が飛んだ。 その手に握っていた、人形の腕を投げたのだ。 矢は違わず、空中のエヴァを真っ直ぐその軌道に捕らえている。 距離は間近。足場のないエヴァに、避けることは不可能だ。 リンクは勝利を確信した。 ――次の瞬間。 必殺のはずの一矢は、見えない壁に遮られ、エヴァに届く前に弾き飛ばされた。 「……なっ!」 あり得ない結果に、リンクは一瞬硬直する。 それが致命的な隙を生んだ。 エヴァはそのまま虚空を渡り、唖然と動きを止めたリンクの背後に降り立つ。 「――チェックメイトだ」 腕を掴まれた、と思った瞬間に、周囲の景色がぐるりと回った。 地面に叩きつけられるまで、リンクは自分が投げられたのだと気付かなかった。それほど鋭く、素早い投げだった。 最初に殴りかかった時に投げられたのと同じだ。 ただ、先ほどは投げ飛ばされただけだったが、今度は砂利の上に叩きつけられてしまった。 さしものリンクも、ノーダメージというわけにはいかない。 「痛っ……!」 すぐさま立ち上がろうとしたが、左肩にズキリと痛みが走る。 投げられた勢いで糸は指から抜け、あるるかんは参道上を滑って転がっていってしまっていた。 今のリンクに、武器はない。 そしてエヴァは、間髪いれずに反撃の芽を摘んだ。 「ぐっ……」 背中をエヴァの指が押さえている、たったそれだけで、リンクはもう動けなかった。 腹ばいになって、地面に横たわるしかなかった。 わけがわからない。 そんなに強い力のはずはないのに、まったく自由が利かない。 合気や柔術なんてものを知らない彼にとって、それは不条理な魔法に等しかった。 「くっ、退けよ、ちくしょうっ!」 精一杯暴れようとするが、膝を曲げる事すらできない。 懸命にもがくリンクを無視して、エヴァは彼の長い耳元で、囁くように言った。 「なかなか面白かったが、それは貴様向きの武器ではないな」 「なにをっ」 「貴様は左利きだ」 エヴァは短く一言で核心を付いた。 図星だった。リンクの掌に、今更ながら汗が滲む。 「なぜ……」 「アホか貴様。なぜもなにも、先ほど左手で殴りかかってきただろうが。 つまり貴様では、その左腕のない人形は宝の持ち腐れというわけだ」 その通りだった。あるるかんには、左腕がない。 人形操りは、別に操者の動きをトレースするわけではない。指の微かな返しや捻りが、その四肢を大きく動かす。 だから、利き腕など関係ないといえば関係ない。 しかし、リンクは自分の動きをイメージして、あるるかんに伝えていた。 リンク自身に右腕での攻撃経験がないのが、その操作に若干の齟齬をもたらしていたのだ。 まさか、そんな事まで見抜かれていたなんて。 冷や汗を浮かべるリンクに、エヴァはくつくつと笑いながら言葉を続けた。 「さて、質問タイムだ。私の事は聞いてるようだな? エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。闇の福音。悪しき音信。禍音の使徒。 ――好きに呼べ。で、貴様の名は?」 「リンクだっ!」 精一杯顔を上げ、リンクは強がって叫んだ。 「コキリの森のリンクだっ! 退けよっ、この……!」 「ではリンク、貴様はこの殺し合いのゲームには乗ってないんだな?」 「当たり前だっ! お前みたいな殺人鬼と一緒にするなっ!」 「ならば、ニケという小僧と合流しろ」 エヴァは淡々とした声で言った。 「なのはという小娘も一緒のはずだ。 ……いや貴様、インデックスに会ってたのだったな。ならばもう会っているか」 その物言いに、リンクは気付いた。 エヴァは知らないのだ。なのはがすでに仲間から離れ、独り修羅の道を歩んでいる事を。 ニケは今斥候に出ているだけで、じきにここへ戻ってくるはずだという事を。 そしてどうやら、エヴァには自分を殺すつもりがない。 「まあいい。とにかく奴らに会ったら伝えろ。私は私の道を行く――そう言ってたとな」 「……どういうつもりだよ。殺さないのか」 そう言うと、エヴァはやや目を細めて嗤った。 「そんなもったいない事はしない。私は美味いものは後に残しておくタイプなんでね」 そう言いながら、エヴァは背中に押し当てた指に力を込める。 ゴリ、という音と共に、リンクの背中から電撃のような痛みが全身に走った。 「ぐぁ……っ!」 「指一本だ。わかるか? これが今の貴様と私の差だ。 お前は弱くはないが、さして強くもない。私が憎いのならば徒党を組め。 どのみちジェダに挑むためには必要な事だろう? 再び相まみえる時まで、その命、預けておいてやろう」 エヴァはそこで一旦言葉を切り、リンクの反応を薄ら笑いを浮かべながら眺める。 そして勿体をつけるかのように間を取りながら、眼に凄みを利かせて次の言葉を継いだ。 「では、これが最後の質問だ。貴様、リリスの居場所を知らんか?」 意外な問いに、リンクは一瞬息を呑んだ。 その話なら、小太郎に聞いて知っている。そこにシャナという仲間が向かっているはずだという事も。 それを山小屋の仲間たちに伝えるのが、もともとのリンクたちの役目の一つだったのだから。 しかしリンクは、エヴァを睨みながら反駁した。 「そんなこと、聞いてどうするんだ」 「殺す」 迷いなく即答するエヴァ。 「……知ってるようだな。ならばさっさと教えろ。私は気が長いほうではないぞ」 「知ってたら、なんだ。お前には教えない」 リンクは土のついた顔で、殺気を込めてエヴァを睨んだ。 「お前が仲間なら、喜んで教えた。だけど、お前はもう仲間じゃない。 お前自身がそう言ったんだ。だから、教えるわけにはいかない」 「それは困ったな」 エヴァはまったく困った様子もなく言った。 「それでは私は手当たり次第に参加者を襲いながら、情報を集めねばならん。 ひょっとすると、また誰か殺してしまうかも知れんな……」 「くそっ、タワーだ!」 リンクは吐き棄てるように叫んだ。 「南の町にあるタワーに、18時にやって来るって聞いた! そこがゲームに乗った連中の待ち合わせ場所だって話だよ。 リリスを倒すために、もうそこに向かってる仲間もいる! お前の出番なんてない! 卑怯者め、満足したなら離せっ!」 その言葉に、エヴァは険しい顔で忌々しげに舌打ちした。 「18時だと? くそ、もう過ぎてるじゃないか。出遅れたか――」 玉砂利を鳴らしてエヴァは立ち上がり、リンクの背中から圧力が消える。 だが、まだ痺れが残っていて、自由には動けない。 リンクは転がるように仰向けになり、大きく喘いだ。 首を向けると、エヴァは先ほど投げた人形の腕を拾い、動かなくなったあるるかんへと歩み寄っている。 糸を指に通し、エヴァが軽く手招きすると、あるるかんは目を覚ましたかのように俊敏に起き上がった。 リンクは驚愕に、眼を見開く。 エヴァが何度か指を開いたり閉じたりすると、あるるかんは恭しく跪き、臣下の礼を示す。 満足げに、エヴァは頷いた。 「あるるかんと呼んでいたな。道化か、なるほど今の私には似合いの従者だ」 そう言い捨てると、エヴァはリンクを振り返りもせず、さっさと境内を歩き去っていった。 その後ろを、従順な召使いのようにあるるかんが続く。 立ち去るエヴァとあるるかんを、リンクは黙って見送るしかできなかった。 レベルが違う。まるで底が読めない。 自分でさえ操作に慣れるまで時間がかかったのに、エヴァはまるで旧知のように懸糸傀儡を操ったのだ。 その流れるような自然な動きは、自分のそれとは比べ物にならない。 リンクにはもはや、言葉もなかった。 あれは、とんでもない化け物だ。 力も技もスピードも、きっと経験や才能だってぜんぜん敵わない。 今、生きている事が不思議なくらいだった。 エヴァは去った。境内に、静寂が戻る。 リンクは彼女の背中に向けていた警戒を解き、目を閉じて息を整え、痛みの回復を図った。 左肩はなお痛んだが、背中の痺れは大分マシになってきていた。 右手で体重を支え、リンクはよろけながら立ち上がる。 「ぐっ……。そうだ、梨花ちゃん……」 痛む身体を引き摺りながら、リンクは本殿へと向かった。 敗北感で胸は一杯になっている。 しかしリンクはなによりもまず、梨花のそばに行きたかった。 本殿の中は、先ほど見た時と変わらず薄暗かった。 土足のまま、リンクは中へと転がり込む。 梨花は板張りに仰臥し、まるで眠っているかのように瞼を閉じていた。手は丁寧にも、胸の上で組まされている。 だが、その首から肩にかけては真っ赤に染まり、首は不自然な角度で曲がっていた。 「梨花、ちゃん……。こんな……」 リンクは手を伸ばし、梨花の身体を抱えあげる。 力なく彼女の小さな身体はリンクの胸に収まった。組まれていた腕が、ぶらりと揺れた。 生きていない。もう、なんの返事もしない。 少女の無残な姿を前にして、初めてリンクの眼から涙が溢れた。 「守るって、絶対守るって誓ったのに……!」 リンクは掠れた声で呻いた。 学校で小太郎や小狼と別れた時、ひそかに誓ったのだ。 梨花だけは、なんとしても守ると。 口には出さない、しかしだからこそ大切な誓いだった。 しかし、たった数時間も経たず、誓いは破れた。 冷たくなった梨花の頬に自分の頬をすり寄せ、リンクは強く梨花の身体を抱きしめる。 「なんて……無力なんだっ。誰も救えない。誰も守れなかったっ!」 燃えるハイラル城でゼルダを見失った時と同じ無力感が、リンクを苛んだ。 こんな子供の身体じゃ、やっぱり本当に手強い相手には敵わない。 あの時みたいに、時の神殿で大人になる事ができれば。 時の勇者として、この手にマスターソードがあれば、誰にだって絶対に負けたりしないのに――! 無理な事だと知りつつも、そう思わずにいられなかった。 きつく唇を噛み、小さな遺体を強く抱いたまま、リンクは身じろぎもしないですすり泣いた。 ……どれくらい、そうしていただろう。 梨花の中に残っていた微かな温もりすら感じられなくなった頃、リンクはようやく顔を上げた。 「そうだ……さっきの建物の中に、武器があるって、梨花ちゃんが……」 どうすればいいかわからない。 今はなにも考えられない。 でも、最後に梨花がやろうとしていた事くらいは、果たしたい。 こんなに心が乱れるなんて、デクの樹サマが死んだ時以来だ、とリンクは思う。 大人だった時は、哀しみを乗り越える力だってあったのに。 きっと、心も前より弱くなってるのかも知れない。 梨花ちゃんは慥か、鍵を探していたはずだ。どこかに鍵が……。 そう思いながら、リンクは薄暗い室内を見渡す。 すると、滲む視界に三つのランドセルが見えた。 一つは、梨花のランドセル。それとは別に、あと二つ。 エヴァのものだろうか。それにしては二つある。 だとしても、どうしてあいつは荷物を置いてったんだろう。 代わりにあるるかんは取られちゃったけど……。 リンクは梨花をそっと横たえると、立ち上がって荷物の方へ歩き寄った。 ランドセルの一つを開き、中を探る。 ひょっとしたら、なにかこの状況を変えられるものが入っているかも知れない。 なにか、今のこの気持ちをどうにかできるものが入っているかも知れない。 出て来たのは、薄桃色をした一枚のカードだった。 翼のある女性が、同じく翼の生えたハートを抱えている絵が描かれており、一番下には文字が記されている。 見慣れない文字だったが、カードの持つ魔力故か、ハイラル人のリンクにもその意味は読んで取れた。 《THE HOPE》 再び一気に、わけのわからない激情が込みあがってくる。 思いっきり床板を叩きながら、リンクは絶叫した。 「希望って、なんだよっ !!」 それは確かにあった。さっきまで。 梨花と二人で、そう確かめ合ったばかりだったのに――。 まるでそれが見当外れのツッコミだとでもいうかのように勇者の拳は反応せず、 彼の悲痛な叫びに応える者は、どこにもなかった。 【C-4/古手神社本殿内/1日目/夜】 【リンク(子供)@ゼルダの伝説 時のオカリナ】 [状態]:左太腿、右掌に裂傷(治療済み)、左肩に打撲、背中に痺れ(一時的なもの) [装備]:勇者の拳@魔法陣グルグル [道具]:共通支給品一式、クロウカード『希望』@CCさくら [服装]:中世ファンタジーな布の服など。傷口に包帯。 [思考]:……。 第一行動方針:落ち着いたら梨花を埋葬して、祭具殿の中を探る。 第二行動方針:神社にて待機。集まってくる参加者との合流を目指す。 第三行動方針:もし桜を見つけたら保護する。ニケたちに会ったらエヴァの伝言を伝える。 基本行動方針:ゲームを壊す 参戦時期:エンディング後 ※本殿内に、エヴァの荷物(基本支給品、歩く教会の十字架@とある魔術の禁書目録) なのはの荷物(基本支給品、時限爆弾@ぱにぽに、じゃんけん札@サザエさん)が放置されています。 ※梨花のランドセル(共通支給品×2(食料は1人分)、エスパー錠とその鍵@絶対可憐チルドレン、 ふじおか@みなみけ(なんか汚れた)、5MeO-DIPT(24mg)、(古手梨花の)平常時の服)は 梨花の死体が所持しています。 ※祭具殿内に何があるかは不明です。 ※ ※ ※ ※ ※ 「やはり神社か……。あれから少し北東に移動したという事だな。 しかし、わざわざ山道をここまで運んできたのか、あのお人好しどもは」 エヴァは朱塗りの鳥居を見上げながら、誰ともなしに呟いた。 背後には、懸糸傀儡のあるるかんが音もなく従っている。 人形使い――ドール・マスターはエヴァの異称の一つだ。 普段は魔力で人形を操るが、彼女ほどの手練ともなれば、糸操りだけで人形に忍び歩きさせる事くらい容易い。 二、三度試しただけで、あるるかんの構造はすでに把握していた。 魔力を通せば操作の必要すらなくなるのだが、この魔力はあの少女の命と引き換えにしたものだ。 リリスと対峙するまで、一滴たりとも無駄にはできない。 エヴァは糸を操ってあるるかんの手を伸ばし、その上に乗って抱え上げさせた。 ちょうど、胸の位置に座るような格好になる。 まだ足元が覚束ないのだ。自分で歩くよりはこうした方が移動の効率がいいし、魔力の温存にも繋がる。 「南の町のタワーだったな。急ぐか、時間がない」 悠長にしていては間に合わない。もう18時は大分過ぎている。 目的地は山の向こうだ。ヘタをすると、終わってしまう。 エヴァは糸を操り、南に向けてあるるかんを走らせ始めた。 夜天の下を、黒衣の異形が風のように疾駆する。 あるるかんの胸の中で風を受けながら、エヴァはそっと息をつく。 神社で目覚めて以来のこの数分間は、彼女にとっても悪夢のような時間だった。 様々な事が起こり、肉体的にも精神的にも、息をつく暇もなかったのだ。 こんなザマは600年ぶりだ、とエヴァは思う。 リンクがやってきた時には、エヴァはすっかり醒めていた。 一時のマグマのような煮えたぎった激情がまるで嘘であったかのように、心は冷たく凪いでいた。 だからこそ、冷静な対応が取れた。 実際、リンクに言ったほど、今のエヴァと彼の強さに差はない。 エヴァが圧勝できたのは、ひとえに経験の差と言っていい。 リンクが慣れない武器を使っていた事も大きかった。しかもそれが人形であれば、エヴァに一日の長がある。 エヴァにはリンクの手の内が読めたが、リンクはエヴァが魔法使いだとすら知らなかったのだろう。 魔法を使わずに済ませるつもりだったエヴァを、一瞬ながら障壁を展開させるまで追いつめたのだから、 リンクは充分すぎるほど善戦したといえる。 エヴァが思うのは、今は亡き己が弟子の事である。 リンクに言った言葉は、そのままエヴァの実感だ。 ここでは意味もなく人が死ぬ。なんの理由もなく、あっけなく死ぬ。 だから、ネギもきっとそうして死んだのだろう、と彼女は思った。いや、わかってしまった。 意味もなく戦い、意味もなく命を散らしたのだ。殺した方も殺された方も、どちらも哀れであり、愚かでもある。 恨みつらみがないとは言えない。あのぼーやは、こんなところで死んでいい男ではなかった。 真っ直ぐな意志を持ち、天賦の才に恵まれ、高潔な理想を持つがゆえに醜い現実との軋轢に迷い、 足掻き、苦しみながらも、父や自分をも超える遥か高みまで登りつめる可能性を秘めていた。 密やかな期待を込め、手塩にかけた弟子だった。 師の欲目でないとは言わないが、こんなバカバカしい状況に巻き込まれて死んでいい奴ではなかったのだ。 そしてそれは、リンクが梨花と呼んでいたあの少女も同様だ。 前途があったはずの、幼い少女。 この手で無残にも、殺してしまった少女。 エヴァはギリリと奥歯を噛む。 無様だった。 魔力切れで死にかけ、弟子の死に動揺し、挙句に力加減を誤って幼い少女の命を奪うなど、無様にも程がある。 故意ではないとはいえ、罪もない女子供を殺してしまったのだ。 それだけは、どんな時代においても、どんな状況にあっても避けてきた事だった。 いうなれば、唯一の聖域だった。エヴァは自分で自分が許せない。 エヴァは確かに、少女の限界まで血を吸うつもりだった。 ナギに封印されて以来控えてきた事とはいえ、それ自体は幾度となく繰り返した行為だ。 たとえどんな極限状態であっても、澱みなく行えるだけの経験が、エヴァにはある。 しかし、死に至らしめるつもりなどなかったにも関わらず、少女は死んでしまった。 エヴァの誤算。それは、ジェダの施した能力の制限。 真祖であるエヴァの吸血行為は、主従の契約という側面が強い。 それは、マギステル・マギとミニステル・マギの関係とよく似ている。 違うのは、吸血能力を与えること。そして、主人に対する絶対の忠誠を植え付けることくらいである。 先ほども、エヴァは少女に魔力を通し、臨時の契約を結ぼうとした。 血を吸いながら順次それを魔力に変換し、対象に送り込むのだ。 そうする事で、筋力や耐久力は勿論、血管や心肺機能までもが強化される。 限界まで血を吸う場合、そうやって身体を強化してやらないと、心臓がショック症状を起こしてしまうからだ。 制限されていたのは、まさにその部分。 吸血そのものではなく、同族能力の付与でもなく、下僕としての契約に伴う身体強化。それだった。 魔力による強化は、格闘経験のない子供にさえ岩をも砕くパワーを与える。 ジェダは吸血による回復や吸血鬼の氾濫は許しても、特定の参加者が強力な、しかも忠実な手駒を 簡単に手に入れる事は許さなかったのだろう。 強化されないまま血を吸われた少女は、いつも通り強化されていると思い込んだエヴァの 無意識の力加減に耐え切れず、あっけなく頚椎を砕かれた。 実に――無意味な死だった。 「くそっ……! ここは命の値段が安すぎるぞ!」 エヴァは低い声で毒づく。 同じ轍を踏むつもりは毛頭ないが、勿論、そんな事は言い訳にならない。 あの少女の命を奪ったのは、紛れもなくこの腕なのだから。 失われた命に、取り返しはつかないのだから。 恨まれるべきである。 憎まれるべきである。 そして、討ち倒されるべきである。 許されざる悪は必ず、正しき者に殲ぼされなければならないのだ。 それが、闇に生きる者としての、エヴァの矜持。悪の美学。 無差別な殺戮者を演じ、リンクを挑発してみせたのも、すべてそのためだった。 ――光に生きてみろ。 ふと脳裏に、かつて聞いた暖かい声が甦る。心まで溶けそうになるような、懐かしい、愛おしい声。 しかしエヴァは、自嘲と共にそれを振り切った。 「ふふ、ナギよ。やはり、どうやらそれは無理らしいぞ? 私の業は思っていた以上に深くて昏くて、救いようがない」 もともと、自分は人殺しなのだ。 命の価値に、本来差はない。 エヴァがその人生において殺してきた悪人たちや賞金稼ぎどもの命だって、少女の命と等価である。 それでも、欺瞞だと知りつつも、女子供を殺さないという一線を引く事で、彼女は自身を見失わないで生きてきた。 ついさっきまで、そうやって自身の命を正当化してきたのだ。 だが、誓いは破れた。 いつか自分を超え、打倒してくれるはずだった、ネギのぼーやも死んだ。 つまり――潮時だということなのだろう。 思えば、永く生きてきた。そろそろ終わりの時を考えてもいい頃合だ。 私は悪だ。いずれ正しき者に討ち倒されるべき悪だ。 ならば、その“いずれ”は、今をおいて他にない。 先ほどの少年は、ぼーやと似た眼をしていた。光に生きる者特有の、力強い、濁りのない澄んだ眼をしていた。 ニケもそうだ。若干不純な光はあったが、迷いのない眼をしていた。 ぼーやの代わりというわけではないが、彼奴らに討たれるのならば、きっとそれも悪くない。 ぼーやを殺した犯人の事は心残りではあるが――。 堕ちるところまで堕ちた今の私に、仇討ちなんてご立派な大儀を掲げる資格はない。 それに、今の自分の命は、あの少女の犠牲の上にある。無辜の命を踏み躙って、今の自分は存在している。 それを無駄にはできない。 あの少女がゲームに乗らず、ジェダ打倒を目指していたというのなら、この命はそのために使うべきだ。 私怨など、ドブに棄ててしまえ。 「もっとも、うっかり出会ってしまったなら、こんばんはで済ますわけにもいかんがな……」 低い確率ではあるが、そんな事もあり得るかも知れない。だが今は、考える必要のないことだ。 どうするかは、その時になって決めればいい。 どうしようもない悪人ならば容赦はしないが、同じ穴の狢という事もあり得る。 それに、ネギがリリスの部下となってゲームに乗ったという情報もある。 普段なら到底信じられない話だが、同じく普段なら考えられないようなミスを犯したエヴァには、 それを完全に否定する事ができなかった。 この結界で覆われた異様な空間の中でなら、どんな不条理な事だって起こり得る。 すべてを疑ってかかるべきだ。常識すらも当てにできない。 「……いや、とにかくまずはリリスだ。急がねば間に合わん」 懐疑的になりがちな思考から瞬時に頭を切り替え、彼女は人形操りに集中する。 ジェダの子飼いであるリリス。あの女だけは、必ずこの手で討ち倒す。 確かに体調は万全とはいい難いが、人生などそんなもの。いつだって準備不足の連続だ。 油断さえなければ、磨き抜いた体術と人形使いのスキルだけでも充分圧倒できる。 あるるかんが手に入った事は、存外の幸運だったといえるだろう。 それに、リリスさえ倒してしまえば、後は何も問題はない。 リリスの血を、思う存分吸えばいいのだ。魔力の出し惜しみをする必要だってない。 あの巫山戯た小娘相手ならば、容赦する理由はどこにもないのだから。 ただし、リリスを倒すのは目的ではなく、あくまでも手段だ。怨みはあるが、今となってはどうでもいい。 情報を得るための手段なのだ。 リリスならば、ジェダの居場所を知っているはずだ。 ジェダは間違いなく、この地下のどこかにいる。リリスを倒し、そこへ至る道の詳細を聞き出さなくてはならない。 贅沢を言えば、ジェダの能力や、弱点も知りたい。情報は多いほどよい。 そして、大ボスへと通じる道を切り開き、その扉をこじ開けて、 万難を排してお膳立てを整え、その前で悠然と彼らを待つのだ。 悪の中ボスとして。 それがきっと、この無駄に長かった生涯の決着に相応しい。 それでやっと、この砂上の楼閣めいた悪の誇りを保つ事ができるのだ。 西の空を仰ぐと、太陽はすでに地平に沈み、うっすらと空の端だけを赤く染めている。 東を振り返れば、暗天の端に真白い月明かりがくっきりと輝いて見える。 「日没と共に昇る月――か。できすぎてるな。ありがたくて反吐が出そうだよ」 それはつまり、満月という事だ。 エヴァは冷笑に疲労を隠し、魔力を極力抑えながら、あるるかんを音もなく走らせ続ける。 己が誇りの最後の牙城を守るため、終の従者と定めた物言わぬ懸糸傀儡と共に、背後に希望を打ち棄てて――。 闇の福音は独り、暗澹たる道を往く。 【C-5/路上/1日目/夜】 【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま! 】 [状態]:衰弱(中)、魔力(中回復) [装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア、あるるかん@からくりサーカス [道具]:なし [思考]:くそ、間に合うか…… 第一行動方針:タワーに行ってリリスを倒し、ジェダの情報を聞き出す。 第二行動方針:ジェダの居場所に至る道を突き止め、露払いをする。 第三行動方針:ジェダを倒そうと挑む者たち(リンクたちならなお良し)の前に立ち塞がり、討たれる。 基本行動方針:ジェダ打倒のために暗躍。ただし仲間は作らない。 最終行動方針:誇り高き悪として、正義の前に散る。 ※ジェダの甘言は無視しています。 ※なのは、ニケ達が気絶していた自分を切り捨てたと思っています。そして、そのことを喜んでいます。 ※あるるかんの構造を把握しました。魔力なしでも充分操れます。 ※梨花の血を大量に吸いました。雛見沢症候群、及び女王感染者との関連は不明です。 ≪187 血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(前編) 時系列順に読む 189 幸福な夢≫ ≪187 血と涙は買えばいい -人心、バイバイ。-(前編) 投下順に読む 189 幸福な夢≫ ≪179 ファンブル エヴァの登場SSを読む 208 山頂を見上げて≫ ≪179 ファンブル リンクの登場SSを読む 202 彼女の意思を継いで僕は……≫
https://w.atwiki.jp/abobo/pages/92.html
30話 決着、宇宙一!そして…!
https://w.atwiki.jp/wadakita/pages/18.html
慟哭貫井徳朗 前から色んなところですごい!と聞いてて遂に読みました。確かに書き振りはひきこまれるようで、どんどん読み進めましたが、エンディングがすごいと意識してるうちにラストがぼんやり読めてしまった・・・。 これはこの作品においては致命的でした。読後の驚きが半減、どころか無になってしまいました。推理サスペンスみたいなんはプレーンな気持ちで読まないとだめですな。前友人に薦めた東野圭吾「宿命」もラストすごいから!!と薦めてたら読めた、って言われたしな~。(07/5/8)
https://w.atwiki.jp/houji/pages/239.html
【慟哭】(ドウコク) 大声をあげてなげき泣くこと。 慟(なげ)き哭(な)く。 類義語 慟泣(ドウキュウ) 対義語 哄笑(コウショウ) 備考H23年度第2回漢検1級(八)対義語・同義語にて出題 関連リンク:慟 哭